「イベルメクチン」は新型コロナウイルス感染症COVID-19の「奇跡の治療薬」と呼ばれ、ワクチン反対派に絶大な支持されているほか、一部の国の保健当局が使用を推奨していることで知られています。
新型コロナウイルスの治験の一環として患者に使用された抗寄生虫薬です。
しかしながら、イベルメクチンは、WHOと厚生労働省が出している「新型コロナウイルス感染症診療の手引き」にも記載されていますが、コロナの治療薬としては承認されていません。
イベルメクチンは元々は寄生虫に対する薬剤であり、以前よりHIVやデング熱ウイルスⅡ対する抗ウイルス効果があったことが知られていました。
イベルメクチンが新型コロナウィルスの治療または予防に有益と見られていましたが、本来は乾癬等の寄生虫の駆除薬である上、COVID-19への使用における有効性や安全性が確立されていないことから、世界保健機構(WHO)は治験以外の使用はしないことを推奨しています。
服用量の目安は以下の通りです。
0.2㎎/㎏で計算
体 重
服用量の目安
15~24kg
3mg:1錠
25~35kg
3mg:2錠
36~50kg
3mg:3錠
51~65kg
3mg:4錠
66~79kg
3mg:5錠
80~90kg
3mg:6錠
※以降体重1㎏あたり約200μgを追加(体重15Kgにつき3㎎の場合1錠)
※個人輸入では12㎎錠が多いようですが、9㎎にするには4つに割る必要があります。しかし、実際は困難であるため、体重が43㎏までの方は、6㎎(半錠)、43~50㎏までの方とされています。
医師の処方箋が必要なお薬です。新型コロナウィルスの症状が見られた場合、保険適用で処方されますので、医師に相談してください。また、個人輸入で購入される方も増えているようです。海外ではジェネリック薬品の取り扱いもあるようです。ただ、個人輸入には責任が伴うことを念頭に置いてくださいね。
医師の処方箋が必要なお薬でドラッグストアーで販売されているお薬ではありません。また、個人輸入などの海外通販も見受けられますが、税関の検疫で調査の対象になる可能性もあります。輸入の際は、自己責任になることに注意しましょう。
イベルジョンは、有効成分としてイベルメクチンを配合した、ストロメクトールのジェネリック医薬品です。有効成分のイベルメクチンが、糞線虫や疥癬の神経・筋細胞にあるグルタミン酸作動性Cl−チャンネルと結合することで、寄生虫を麻痺させることで死に至らしめます。
イベルヒール(イベルメクチン)は、インドの製薬会社であるヒーリングファーマ社が製造しており、様々な寄生虫病に有効なイベルメクチンを有効成分としています。
イベルメクトール(Ivermectol)は、インドのサンファーマ株式会社によって製造された寄生虫感染症の治療に使用される薬です。駆虫薬として知られている有効成分イベルメクチン(ivermectin)を含有しています。
副作用は滅多にないと言われていますが、以下の症状が確認されていますので、念のためご注意ください。
【主な副作用】
吐き気、カユミ、めまいなどです。疥癬においては、ヒゼンダニの死滅後に、一時的にカユミがひどくなることが確認されています。
【重い副作用】めったにありませんが、初期症状等に念のため注意ください。
イベルメクチンのメカニズムについては、いまだ未確認な点が多いものの、なぜ寄生虫の薬がコロナに効くのでしょうか。ある薬剤が他の疾患に効果がある例はしばしばみられるようです。
一応新型コロナウイルスがヒトの細胞内で増殖する際に、ウイルスのたんぱく質の核内移行を阻害し増殖抑制に働く、とされています。
諸外国ではイベルメクチン投与で効果あり、の治験が相次いでいます。死亡率、症状改善、回復までの期間、PCR陰性化までの期間、重篤な副作用など、解析したすべての項目で、イベルメクチン群が優れていた、との報告があります。当然イベルメクチンに否定的な報告もあります。しかしながら、アメリカはどちらかというと使用に消極的です。一方アジアでは注目が集まり需要が急増しています。日本では大村博士のお膝元の北里大学で治験が進行しているところです。
ただし先日発表されたコクランレビューでは、現段階のエビデンスからはイベルメクチンの有効性、安全性は不確実、とされています。あくまでも医師個人の責任で使用するような指示も出ています。
令和3年6月に開催された衆議院会議では重症化を防ぐ効果が示されている抗寄生虫薬「イベルメクチン」の薬剤を緊急使用することに提言しています。
平成二十七年にノーベル生理学・医学賞を受賞した北里大学の大村智特別栄誉教授と米国Merck社の共同研究で創製された抗寄生虫薬である「イベルメクチン」は、同感染症治療薬候補としての期待を持たれています。イベルメクチンは、医師主導治験(第二相臨床試験相当)が、有効性および安全性を検討するプラセボ対照ランダム化二重盲検(評価者、患者)多施設共同並行群間比較試験で行われました。
イベルメクチンについては、世界二十七か国で治験が行われていますが、東京都医師会の本年二月九日の記者会見では、新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため、新型コロナウイルス感染者の重症化を予防する狙いで、海外で重症化を防ぐ効果が示されている抗寄生虫薬「イベルメクチン」等の薬剤を緊急使用することを提言しています。
まだまだ未確認の部分が多い「イベルメクチン」ですが、今後の政府のガイドラインに従うのが一番安全ですね。何よりも新型コロナウィルスが過去の話となる時期を待つばかりです。
投与する場合は、どのようなお薬もそうですが、自己責任がキーになりそうですね。
参考文献:
衆議院HP
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a204059.htm
朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASP716D2CP71ULBJ002.html
医療プレミア
https://mainichi.jp/premier/health/articles/20210916/med/00m/100/010000c